避妊・去勢手術について
子供を作る予定のないワンちゃん、猫ちゃんは、避妊・去勢手術を受ける事ができます。
当院の指針では生後6ヶ月以降を目安に手術をお勧めしています。
避妊去勢手術によって子供を作ることはできなくなりますので、
充分ご検討の上、手術を決められる事をお勧めいたします。
避妊・去勢手術のメリット
・子供ができなくなる
・発情がなくなり、発情ストレスや、出血(メス)などの管理から解放される。
・スプレー行動が減少する事が多い(オス猫)
・性格が穏和になる
・オスの精巣腫瘍、前立腺疾患、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫などの疾病リスクが減る
・メスの子宮蓄膿症、卵巣腫瘍の発生は無くなる。
・メス犬の乳腺腫瘍の発生リスクが下がる(特に2回目発情まで)
避妊・去勢手術のデメリット
・手術後に少し肥満しやすくなる傾向がある
・全身麻酔と手術のリスク(ほとんどありません)
・性ホルモン失調性疾患の発現(希な疾患です)
・手術費用がかかる
当院での避妊・去勢手術
基本的には手術の日取りを決める際に一度来院していただき、
診察を行い、手術に関するご説明等を行っています。
当院では先制鎮痛法を用いた痛みの軽減をお勧めしています。
縫合時に長時間作用型局所麻酔も併用し覚醒後の痛み軽減を行なっています。
手術は完全予約制となっております。
当院での避妊去勢手術は日帰り手術です。
麻酔の覚醒に問題があるなど、特別な理由がない限り入院することはありません。
午前にお預かりして手術を行い、麻酔の覚醒を確認の上およそ夕方ごろには帰宅できます。
当院のOPE室
様々な外科関連機器・モニタリング機器が集約されています。
手術の手順
外科処置には全身麻酔・手術という2つのリスクが常に存在します。
当院では、いかにしてこのリスクをゼロに近づけるかを考え、そのための方策を実践しています。
動物の年齢や状況に応じて使用する麻酔薬の選択を行います。
基本的にはほとんどの例で静脈麻酔とガス麻酔のコンビネーション麻酔を行います。
静脈カテーテルのセッティング
静脈麻酔薬などの投与や点滴の為のカテーテルをセットします。
この処置は可能性は低くても不測の事態に備えるという意味でも大事です。
気管チューブの挿管
静脈麻酔に引き続き、気管チューブを気管内に挿管します。
このチューブを通じてガス麻酔を行います。
この処置は確実に気道を確保するという安全面での意味もあります。
舌についている黒いものは酸素飽和度を測定する器械のプローブです。
麻酔装置・ベンチレーター・モニタリング機器のセッティング
マルチモニターのセッティング
心電計、麻酔ガス、酸素飽和度、血圧、体温、呼吸波、呼吸回数、呼気炭酸ガスのモニタリングを行います。
リアルタイムに変動するこれらパラメーターを確認し、麻酔深度や呼吸の調節を行います。観血血圧モジュールも備えたタッチパネルの最新鋭機です。
電気メス
さまざまな切開凝固モードをもつオリンパス社最新鋭機ESG-400です。
低浸襲で確実な止血を行える、頼もしい相棒です。
後述のTHUNDER BEATとの併用で鬼に金棒となるマシーンです。
手術部位は毛刈りし、洗浄消毒を繰り返し行います。
手術開始
術者、助手はマスク・キャップはもちろん、滅菌術衣、滅菌グローブを着用します。
手術を受ける動物にはドレープという手術用の滅菌布が着用されます。
OLYMPUS THUNDER BEAT
外科用エネルギーデバイスの最新鋭器です。
この器械は比較的大きな血管を糸を使わず閉じることができます。
超音波振動による組織離断と電気的な血管シーリングを同時に達成する器械です。
この超音波と電気の融合は日本の医療器械技術の結晶とも言える製品で、
今までの器械とは比較にならない速度でシーリングと離断が完了します。
この器械を用いることでお腹の中に残す縫合糸を最小限にできます。
近年ダックスなどで問題になっている縫合糸反応性肉芽腫の発生を最小限にできます。
THUNDER BEATピストルグリップ
旧来の術式では糸で結紮し、体内に糸を残していました。
THUNDER BEATを用いることで糸を使わず安全確実に血管をシールし離断できます。
手術時間も短縮されますので、動物の負担も軽減されます。
当院ではTHUNDER BEATシステムを用いた安全で新しい避妊・去勢手術を提案いたします。
避妊・去勢といった基本的な手術であっても、安全な麻酔、モニタリング、滅菌的手技等手術リスク回避のための手だては充分に行う必要があります。
しかし、これだけで満足するのではなくシーリングシステムによる無結紮手術を行うことにより、今度は術後に起きてくる危険(縫合糸肉芽腫)も最大限回避していく事が大事ではないかと私たちは考えます。
避妊・去勢手術をご検討中の方は当院にご相談下さい。
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